1952年の処女作制作から2003年3月に亡くなるまで、一貫して前衛の道を歩んだアメリカの実験映画作家スタン・ブラッケージ。彼はカルト的な実験映画作家としてではなく、より普遍的な問題意識に根ざした現代芸術家としてとらえるべき存在です。

私たちは、日本初の大規模な回顧上映「ブラッケージ・アイズ2003−2004」の関連企画として、ブラッケージを実験映画の枠を超えたより広い視野でとらえるための展覧会とライブイベントをおこないます。タイトルの「リスポンド・ダンス」はブラッケージの著書『視覚における暗喩』の最終章のからとりました。「ここらあたりで僕はぜひ目を転じて、西欧世界のドラマの全面的な崩壊についていくらかの考えをまとめておかなければならない。まず社会全体が踊っていた」と述べるブラッケージは、「踊り」という言葉で芸術と生の結びつきを、そして共同性の在り方を語りました。

『リスポンド・ダンス展』は、ブラッケージの生涯をたどり既成の映画を逸脱したブラッケージ作品の複雑な構造と技法をスティル写真によって解析する「ブラッケージ ワークス」と、美術家や映像作家が作品によってブラッケージを論ずる「アーティストによるブラッケージ論/展」からなります。 ダンス、ライブペインティング、音楽、映像、シンポジウムによる『リスポンド・ダンス ライブ』においてもブラッケージ論がコンセプトとなります。それは、オマージュでありトリビュートであり対話であり批判であり対決であるかもしれません。

ブラッケージに触発された日本のアーティストたちからのさまざまなリスポンスが、やがてオーガニックなアンサンブルを形成することをご期待ください。そこにはひとつの声が木霊しています。「人それぞれが独自に踊る踊りは、自然に必然的にかかわってくる」(ブラッケージ)


※ブラッケージの言葉はすべて『アメリカの実験映画』(アダムス・シトニー編 石崎浩一郎訳 フィルムアート社)より引用させていただきました。

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